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40代おっさんによるオタクっぽい脳内井戸端会議

TRPG メタルヘッド(MH)について思う その伍

(初代)メタルヘッドの嫌なところをまたまた挙げていく
その⑤”2160年のメタルヘッド世界における弾薬事情”が残念すぎる

メタルヘッドマキシマム(以後MHM)214頁に2160年代のメタルヘッド世界での弾薬事情が掲載されています(初代メタルヘッドは10年前の2150年が舞台ですので、≒2150年代の弾薬事情と解釈していいんじゃないかと…)

その内容なんですが…

  • 弾丸のほとんどがケースレスである。ショットガン用の散弾、マシンガン用のベルト式マガジンはカートリッジ式である。マグナム弾を使うような大口径の拳銃は銃本体の耐久性の問題からケースレスにするのはあまり現実的でない。
  • マガジンの形状は高い装弾数を可能にする"ブルバップ式"や"ヘリカルマガジン式"が主流である。
  • 戦場が市街戦に移ったため、より多くの弾をばら撒くことが求められるようになった。

 

から、やはり初代メタルヘッドにおける”カートレス”は”ケースレス”の誤用であることが推測できます(因みにケースレス弾 4.73mm×33 DM11 の画像はこちら)。しかし、圧倒的なシェア(ほぼ100%)でケース(薬莢)式弾薬が使用されている2010年代の現状と以下の理由から『弾丸のほとんどがケースレス弾』という設定は無理があるように思われます。

理由

☆『ショットガン用の散弾、マシンガン用のベルト式マガジンはカートリッジ式』『マグナム弾を使うような大口径の拳銃は銃本体の耐久性の問題からケースレスにするのはあまり現実的でない』という設定と『弾丸のほとんどがケースレス弾』という設定は両立しません。完全に破綻しています(重箱の隅ですが…ベルト式マガジン→ベルトリンク給弾に用いられるライフル弾。カートリッジ式→ケース式。ケース式もケースレス式もカートリッジ=弾薬です。MHMでもカートリッジという言葉が誤用されています。)。

☆カタストロフで大都市の全てが壊滅的被害を受けたわけではなく 無事だった大都市を原型にメガシティが建設された。従ってケース式の生産設備、従来の銃器・弾薬の在庫が壊滅したわけではない。

☆MHハンドブックの.45cal カートレスのサイズ・重量データが、現行の.45口径拳銃 と大きな違いはなく、弾倉配置等を見ても銃自体がケースレス用に最適化されたデザインには見えない。

☆兵站面からケース式とケースレス式が混在することは望ましくない。

☆1990年代から2010年現在までケースレス弾と専用銃の開発研究は凍結されたままであり、欠点は放置されたままである。

☆カタストロフ期~2110年代のメガシティ建設まではケースレス弾の開発とケースレス式銃器の導入を行えるような余裕があったとは思えない。

☆『ケース(薬莢)式弾薬が致命的な欠点を持たない状況で、飛び抜けた利点を持たないケースレス式に移行する明確な理由と必要性はない』

迷銃で撃て! 補足編 H&K G11とケースレス弾 (前編) - YouTube

 

迷銃で撃て! 補足編 H&K G11とケースレス弾 (後編) - YouTube

  ついでにこれは完全な愚痴なんですが、武器データにも解説にもケースレス(カートレス?)と明記されてない武器はケースレスかケース(薬莢式)かを上記①~③に当てはめてGMが判断するしかありません。

メタルヘッドのプレイ中に"現場に残された空薬莢一つがシナリオ解決の糸口になるかも知れないという場面で" GM諸氏は"犯人が使用した銃器がケースレスかどうか" を判断し、プレイヤー達に空薬莢の有無を明確に答える責務があるのです。

その中でこの情報量の不足は如何ともしがたい。特に"マグナム弾を使うような大口径の拳銃~現実的でない"という記述は問題だと思います。ユーザーは2160年の未来技術の可能性を知りたい訳ではない(と思う)。

メタルヘッド世界において大口径の拳銃はケースレス式なのか?リボルバー拳銃までケースレス式なのか?マグナム弾以上の発射火薬を用いるアサルトライフルはケースレス化されているようだが、12.7mm重機関銃用のライフル弾はケースレス化されているのか?その辺りの事情を詳細に"メタルヘッドの公式設定"という形でルールブックにページを割いて掲載して欲しかったです。

 

についても”ブルバップ式はマガジンの形状ではなくマガジンの配置形式であり、高い装弾数を可能にしたりは絶対しません。一時期は"ブルバップ式"のマガジン配置がアサルトライフルのカテゴリーを席巻しましたが、最近では多くの欠点が判明したため鳴かず飛ばずといった印象です。メタルヘッドワールドで主流になるためには何らかの理由を設定する必要があります。

”ヘリカルマガジン"は確かに装弾数の増加につながりますが、マガジンが嵩張る・重量過多、マガジンへの弾薬装填が面倒、マガジン構造が複雑で装弾不良の可能性が高まる、発射するにつれて銃全体の重心バランスが崩れるという欠点を持つため2010年現在でごく少数の銃が採用しているに過ぎません。ケースレス弾と同じ理由で、現行で普及している箱型マガジンに致命的な欠点が存在しない以上 主流になるとは到底思えません。

 

実弾射撃 キャリコ M950 (1) - YouTube

に一番ゲンナリさせられました。

より多くの弾丸により相手を制圧することは銃撃戦の基本であり、戦場が市街戦に移行した事と使用弾薬量の増加に因果関係があるんでしょうか?

これが理由でケースレス式のオートピストルとブルバップ式のSMGがトップシェアを誇っているそうです (゚Д゚≡゚Д゚)?。

おまけに『市街戦以外の戦場も少なくないのでカートリッジ式(ケース式の誤用…)の活躍する場もまだまだ多い』との記述もありまして←ほとんどの弾丸がケースレス式なんでしょ!!整合性ぐらい取っ下さいよ(゚Д゚#)と言いたい。

"相手に人外の反射神経を持つサイボーグもいるので、出会い頭の敵に大量の弾丸を叩き込むのが有効"との記述もありますが……そりゃそうだけどさぁ……あまりにもヒネリがなさ過ぎませんか?

せめて"戦場において相手がフルボーグであることも充分に想定できるので、視認領域外からの徹甲弾による遠距離狙撃や SAリンクした大口径火器による無駄弾を省いたピンポイント射撃が2160年代における銃撃戦のトレンドである" とかなんとか…ちょっと気の利いた設定であって欲しかったんですが…贅沢でしょうか?

 

 銃とメカを売りにしているTRPGにもかかわらず、あまりにもチープで陳腐な未来しか見せてくれないところがメタルヘッドの一番残念な点かもしれないですね…辛口ご容赦です。 

 

学生時代に散々遊びたおしたTRPGメタルヘッド”(略称MH)について以前に別のサイトで書いた記事を加筆掲載。